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経費の範囲
皆さんこんにちは!税理士法人ウィズです。
お客様から多く寄せられる質問の一つが、「この支払いって経費にできる?」という質問です。
皆さんの関心が強い経費ですが、実は個人事業主と法人では経費にできる範囲が異なるんです。
そこで今回は、個人事業主と法人の経費範囲の違いについて解説します。
どんな違いがあるのか詳しく見ていきましょう!
1.個人事業主と法人どちらも経費にできるもの
事業に直接関連する支出は両者とも経費となります。
【主な経費の例】
・材料等の仕入
・文房具やコピー用紙、プリンターインク等の消耗品費
・事業用の携帯電話の通信費
・取引先への移動にかかる旅費交通費
・事務所の水道光熱費
※個人事業主の場合、事業とプライベートの両方で使用する場合は、家事按分が必要となります。
2.法人のみ経費にできるもの
個人事業主と比べて法人は経費と認められる範囲が広くなります。法人のみに経費計上が認められるものを見ていきましょう。
①事業主本人への報酬
個人事業主では、自分自身に対し給与・賞与・退職金を支払うことはできません。しかし法人では役員報酬という形で支払うことが可能となります。(定期同額での支給や事前確定届出給与の届出等、一定の要件を満たす必要があります。)
②健康保険・年金
個人事業主は国民健康保険・国民年金を経費とする事は出来ません。
法人においては上記の代わりに社会保険料を支払う事になりますが、会社と従業員で50%ずつ負担するため半額が経費となります。(労使折半)
また従業員個人にとっても、
・国民年金に加えて厚生年金を支払うため将来受け取る年金の額が増加する。
・追加の負担なしで家族も社会保険に加入することができる。(扶養の範囲内に限る。)
というメリットがあります。
③旅費日当
法人は従業員(役員含む)の出張時の日当を支給することが可能になります。
日当を支給する際には、①就業規則で出張旅費規定を定める、②支給額が適正であるかの2点に注意しましょう!
日当は受給者にとっても給与課税されないのが嬉しいポイントです。
④法人名義で契約をしたもの
法人の名義で契約を行ったものは対象や利用者が個人であっても経費となります。
(1)社宅
個人事業主は自宅を事業に用いている場合、その利用部分を家事按分して経費計上を行いますが、自宅部分を経費計上する事は出来ません。会社名義で契約した社宅は自宅部分も経費となります。
従業員にも一定の賃料を負担してもらう必要はありますが、通常よりも家賃を低く抑える事ができるのは大きなメリットですね。
(2)生命保険
個人事業主が生命保険を支払った場合は事業の個人とは別に確定申告時に最大12万円までは生命保険控除を受けることができます。
一方法人の場合は、生命保険の支払いは経費となります。(保険の種類により経費とできる割合が異なるため契約時に確認が必要です。)
支払った際に経費にすることはできるのですが、保険金を受け取った際には収益となり、課税の対象となってしまうため注意しましょう。(節税と異なり、課税の繰延べといいます。)
まとめ
個人事業主・法人どちらも事業のために支出したものは経費になる。
法人は個人事業主では経費にできないものも経費にできる。
「法人の方がたくさん経費に出来てお得だ!法人を設立しよう」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。法人は経費面で有利な一方、
・設立に費用がかかる。
・赤字の場合でも一定額の税金を納めなければならない。
・税金、社会保険をはじめとした事務作業が増加する。
等のデメリットも存在します。
最後までご覧いただきありがとうございました!
個人事業主と法人、それぞれの経費の範囲をしっかり理解して、適切に経費計上を行いましょう!
法人設立の目安の一つは、個人事業の所得(≒利益)が800万~900万円を超えた時とされています。
迷った際にはぜひ税理士法人ウィズにご相談ください!